夢は、私たちが日々経験する現実とは異なる世界です。そして、私たちはしばしば同じような夢を繰りかえし見ることがあります。ここでは、繰りかえし見る夢を20パターン取り上げ、その夢が持つ意味や解釈について解説していきます。あなたがよく見る夢がこの中に含まれているかもしれません。もし、そうであれば、その夢があなたに何を伝えようとしているのか、ぜひ参考にしてみてください。
繰りかえし見る夢
繰りかえし見る夢20パターン
1 時間に間に合わない
これは、学校に遅刻したり、乗り物に乗り遅れたり、約束に遅れたりする夢です。時間は、計画や約束を進めるためのカウントを表すとともに、ものごとを始める出発点でもあります。よって、時間に間に合わない夢は、ものごとが達成されないことを意味するため、強い焦りを伴います。
なかでも、もっともよく見られるのが学校に遅刻する夢です。これは様々な形で現れます。たとえば、起床の準備に手間どって遅刻してしまったり、登校中に門が閉まっていたため、学校に行けずにうろついたりする夢です。これは、学校に行きたくないという気持ちを反映しています。とくに小学生の場合は、わざと遅れようとしているふしさえ見受けられます。しかし、中学生や高校生になると、勉強に遅れるのではないかという不安が遅刻の夢に表れるようになります。
乗り物に乗り遅れる夢も同様に、社会の流れについていけない、おいてけぼりになるといった焦りを表していることがあります。しかし、間に合いそうにないと感じつつも努力して乗ろうとする夢は、目標に到達するために必要な努力を表しています。
約束に遅れる夢は、自分が契約や約束を履行できるかどうかに対する不安を表しています。
これらの夢を見るときは、自分がものごとをうまく進められていないと感じている場合が多いです。自分自身がどれだけ努力しているかについて反省することが必要かもしれません。
また、遅刻の夢は眠りを覚ます働きもあり、半分は目覚めかけた状態で見ていることが多いため、目覚めることが目的である可能性もあります。
2 高い所から落ちる
これは空からの墜落ではなく、崖やビルなどから落ちるたぐいの夢です。これは、物事がうまく進まないのではないかというあせり、さらに、いまの自分の立場が失われるのではないかという不安を表しています。地位や名誉などの社会的立場から、学校や職場での成績まで、自分が大事にしているものの喪失を表します。
たいていの場合、はっとして目覚めてしまうものです。目覚めることによって、潜在的にもっている恐怖を解消しようとします。でも、目覚めたあとまで、胸がドキドキして、嫌な気分が残ります。この場合は、不安が克服されるまで、繰りかえし同じたぐいの夢を見るはめになるでしょう。
また、落ちる時間が長く、際限がないように感じる夢には、不安のほかに無意識世界への落下という意味があり、そんなときは、ものすごい声をあげて飛び起きることも少なくありません。
以上のように、高い所から落ちる夢は、落ち方が診断のポイントになりますが、ほかに、どこから落ちるかということも考えてみる必要があります。
まず、この種の夢で最も多く見られる崖からの落下は、瀬戸際に立たされるような足すくみの不安から生まれます。一口にいえば、ものごとに追いこまれた状態を表しますが、たぶんにその人の性格を反映しており、プレッシャーに弱い人が見やすい夢といってよいでしょう。
これに比べると、ビルなどの建物から落ちる夢は、対人関係や社会的信用にこだわる性格の人が見やすく、だれかに突き落とされるといった形をとることもまれではありません。
橋から落ちるのは、約束、契約などのきずなが破れることへの不安で、営業的な仕事についている人に特徴的な夢です。
ちなみに、これら落ちる夢とよく似たものに、飛び降りる夢というのがありますが、こちらは不安への落下ではなく、思いきって何かに身を投ずること、つまり決断を表します。
3 死んだ人が現れる
幽霊はともかく、現実の世界では、亡くなった人がこの世に戻ってくることはありません。しかし夢の世界では、亡くなった人が生々しくあなたの前に現れます。その現れ方は、ときには悲しげに、ときには楽しげに、またときには何かを訴えるようにとさまざまです。その人と実際にすごした思い出のひとこまが、きのうのことのように現れることもあります。
このような夢は、多くはその人の思い出をなつかしむ気持ちから生みだされたものですが、もう少し掘りさげていうと、その人とのきずながまだ断ちきれていないこと、つまり両者の関係が清算されていないことを、示しています。親孝行ができないまま父母を亡くしてしまったような人は、父母の夢をいろいろな形で見ます。喧嘩をし合ってばかりいた妹を亡くした人は、妹につきまとわれたり、逆に仲よくなる夢を見ます。友人や恋人の場合も同様です。要するに、死んだ人が現れる夢は、あなたがその人との関係を引きずっていることを示しているのです。反面、生前、その人との関係が希薄だったため、それをとりもどそうとする気持ちが、この夢を生みだすこともあります。特に祖父母との関係にそれが強く見られ、この場合は、ぼんやりとした感じながら何かを訴えかけてくるような夢になります。このほか、死人には、葬られた過去とか記憶といった意味があることから、自分を今一度振りかえれという警告としてとらえてみるのも一つの方法でしょう。過去を振りかえるのは、何も思い出にひたることだけではありません。現在直面している問題の解決法が、過去の体験のなかに示されていることだってあるのです。ある女性は、亡くなった母が献身的に働いている夢を繰りかえし見たことで、ボランティアの仕事につく決心をしたそうです。彼女は子供のころ、奉仕や福祉の仕事に強くあこがれていました。しかし年を経るにつれ、楽な仕事へと志向が移り、気持ちが揺れうごきました。それが、この夢によって過去の気持ちをとりもどし、決心をつけたのです。過去の引きずりすぎはよくありませんが、過去を生かすこともまた大事なのです。この意味では、死んだ人が現れる夢は、過去の清算と活用という両面を持っているといえそうです。
4 何かに追いかけられる
逃げても逃げても、追いかけられる夢があります。汗をびっしょりかいて息を切らせながら、一生懸命走っても、追手から逃げることはできません。追いかけてくるものは、トラやライオンなどの猛獣から、ピストルを持った殺人犯、ときには親兄弟が刃物を持って追いかけてくることもあります。これは大変よく見る夢で、ほぼ一生を通じて見つづけます。
何かに追いかけられる夢は、自分が追い詰められている状況から逃れたい、あるいは責任や重圧や束縛から解放されたいという願望を表します。よって何に追いかけられているかが重要であり、追ってくるものの正体を探ることで、あなたの悩みや不安がより明確になり、そこから問題解決の方法が見えてくるはずです。
期日の限られた仕事があるのに、なかなか進まなかったり、試験が近づいているのに、勉強がはかどらないときなどによく見ます。あるいは両親にいつもガミガミ言われて、気持ちが萎縮して、そのような状態から逃げ出したい気持ちを表すこともあります。
このような夢を見たときには、自分の生活を振り返ってみて、身の回りに「不安」になるものがあるかどうか探してみて、もしあれば、その不安をなくすようにします。仕事がたまってイライラしているようだったら、勇気を出して先輩や上司の人に相談してみるのもいいでしょう。きっといい解決法をアドバイスしてくれるはずです。また、試験勉強がはかどらないようだったら、思いきって的を絞り、これだけは大丈夫という項目だけを勉強したらいいでしょう。
特別なケースとしては、追いかけられたいという逆の心理が追いかけられる夢を生みだすこともあります。その典型が別れた恋人に追いかけられる夢で、ここには、よりを戻したいという願望と、自分はまだまだ追いかけられるだけの魅力があるのだという二つの思いが交錯しています。
また、追いかけられる夢は、しばしば襲われる夢と一体になって現れますが、この場合も、どちらかというと、追いかけられたい、襲われたいという逆の心理を考えたほうがよいでしょう。ちなみに、追いかける夢は追求を表し、これも一生を通じて繰りかえし現れます。追いかけられる夢は受け身タイプの人、追いかける夢は積極的な人が見やすいともいわれています。
5 空を飛ぶ
空を飛ぶ夢もじつによく見る夢のひとつです。とくに年配の人より若い人のほうがよく見ます。若い人のほうが空想力にエネルギーがあり、またその世界に没入できるからです。空を飛ぶ夢は、広い大空を鳥のように自由に飛び回るということで、未知の世界への憧れや、思い通りのことがいろいろとできる可能性を表しています。
空を飛んでいるときの感覚によって、現在の心の状態がわかります。気分爽快に楽しく飛んでいるときは、これからはじまる新しい世界に対して期待をもっています。新学期や入社などの季節にこういう夢を見る人は、前向きな性格で、なにごとにも積極的に挑戦していくタイプです。一方、空を飛んでいても、なんとなく落ちつきがなく、いつか落ちるのではないかとビクビクしているような夢は、新しい世界に飛び出そうとしているのですが、一抹の不安を感じている状態です。いままでとまったく違うことをはじめようとするときには、だれしも不安を抱くものです。不安を乗り越えて、第一歩を踏み出す冒険心が必要です。
また、空を飛ぶ夢は、若い人に多いことから、性エネルギーの発現とみなされることもありますが、どんどん上に飛んで、昇りきったところでスーッと急落下するような夢には、たしかにあのときの感覚に通じるものがあるようです。この場合、男性よりも女性のほうにより多く関係しています。女性の場合、空を飛ぶ夢は、スカートのなかをのぞかれる危険をともないがちですが、これもあるいは露出願望の一端を投影しているのかもしれません。
6 試験に失敗する
受験生に多い夢と考えられがちですが、必ずしもそうではありません。受験にまったく関係ない人でもよく見ます。これはこの夢が、入学試験や就職試験などの実際の試験を表しているのではなく、もっと広い意味での能力のテストや評価を表しているからです。このようなテストや評価は、だれもが一生を通じて受けるもので、逃れることができません。そこでそれがいろいろな試験の夢になります。
このうち多いのは、やはり入学と就職の試験ですが、中・高生時代にやった期末試験などもよく登場し、ときには自分がその年齢に帰って受けたりします。もちろん、試験に合格・不合格があるように、合格する夢もあります。しかし、大半は不合格というか、失敗する夢になります。まず、代表例は答案が思うように書けない夢です。なんとなく書きはするのですが、うまくまとまりません。これは、会社などで何か能力を試される目にあったとき、うまくいかないでしどろもどろになってしまうのとまったく同じ心理です。予想外の問題が出るという夢もあります。これは、一つには見当ちがいや準備不足に対する警告ですが、あなたがこれまでつちかってきたのとはまったく異なる分野の能力を試されていることを教えるものでもあります。カンニングをしようとキョロキョロするのは、助言者を求めていることです。答案を書き終えないうちに時間がくる夢には、時間に間に合わない夢の意味が加わってきます。このように、試験の夢は何かを試されているようなときに見るもので、必ずしも実際の試験を意味しません。とはいえ、受験生の身にある人が試験に失敗する夢を見るのは、やはり気持ちがいいものではありません。ともすると、これは正夢ではないかと尻ごみしてしまいます。しかも受験生の場合は、社会人とちがい、すべてが試験のでき、ふできで決められてしまいます。しかし、感ちがいしてはいけないのは、試験の夢がそのまま入学試験を表しているのではないということです。かりにその夢が、入学試験の形をとっているにせよ、それはたんに日々の試験の投影にすぎないのです。実際の人学試験の含格・不合格とはなんの関係もありません。ただし、あまりに繰りかえしこの夢を見るのは、自信がないことの証明ですから、志望校を検討しなおすか、勉強へのとりくみを反省してみることも考えてください。ある受験生は、クラブ活動で疲れた夜にかぎって入学試験に落ちる夢を見たそうですが、このような場合は、もっと勉強に力をそそぎなさいという警告として受けとめ、クラブ活動を休む手段を講ずるべきでしょう。
7 だれかと別れる
私たちは一生のうちいろいろな人と出会い、また別れていきます。このうち、出会いは未来に起こることなので、それをはっきり予見することができません。夢の世界においても、こんな人に出会うかもしれないという予感が見知らぬ人の姿をとって漠然と示されるだけです。これに比べると、別れはこれまで関わってきた人との間に起こるできことですから、夢にもそれなりの現実感があり、強い印象を残します。
この別れには、ふつうにいう別れ(別離)の意味があるのはもちろんですが、それにとらわれすぎると、とんだ誤解を生じかねませんので注意が必要です。たとえば、家族と別れる夢を見たからといって、必ずしもそれが家出を意味しているわけではありません。それまで続いてきた家族との関係に精神的な意味での別れを告げ、自立の道に踏みだすときがきたと解釈してもよいわけです。実際に家を出て一人で暮らすべきかどうかは、夢とは別の問題なのです。また、もし父母の立場にある人が子供たちと別れる夢を見たのなら、子供たちが一人立ちをするときがきたのだと判断してあげるべきでしょう。同様のことは、親友と別れる夢についてもいえます。親友といえども、いつまでも同じ人生を歩いていけるわけではありません。ときが来れば、おのずとそれぞれの道をたどりはじめます。別れの夢は、それを教えてくれているのです。では、恋人との別れはどうでしょう?この場合は、ことの心理が複雑で、いちがいにはいいきれません。捨てられるのではないかという不安からきたものともいえるし、逆に自分のほうから捨てようとしているともいえます。この夢を見たあと、実際に婚約が破談になったとの話も聞きます。しかし、多くの事例を分析してみると、この夢はものごとがスムーズに進まなくなったようなときに現れています。見る人に、行動をさまたげる何か強いこだわりがあるのです。恋人は、たぶんそのこだわりを象徴しているのでしょう。つまり、恋人との別れは、こだわりから離れなさいという警告かもしれないのです。また別れの夢は、しばしば死の予感と結びついています。たしかに、死は究極の別れですし、死にゆく人が夢枕に立って別れのあいさつにきたという話は、あなたも耳にしたことがあるでしょう。しかし、死が人の運命であるかぎり、どんな人ともいつかは別れなければなりません。別れの夢は、ある意味では、そのリハーサルをしてくれているといえないでしょうか。
8 蛇にからまれる
蛇はフロイトによれば、ペニスの象徴ですが、そのほかにも嫉妬や妬み、悪意や邪推など、さまざまなものを象徴します。一般的には悪いイメージがありますが、白い蛇は神の使いであるといわれるように、神話や伝説にもたびたび登場し、人によって解釈に違いが出てきます。
BlackGryph0n
深層心理学的には蛇は縄と共通のイメージを持っています。縄はものを縛り、またからみつく性質を備えています。蛇にからまれる夢には、この縄のイメージが非常に強く生きています。それは一口にいうと、束縛を表します。だから、蛇にからまれる夢は、どこにからまれたかによって、自分がどんな面で束縛を受けているかを教えてくれます。
まず、いちばん多いのが足にからまれる夢ですが、これは行動力が束縛を受け、身動きがとりにくくなっていることを表します。ひどいときは完全な足すくみにおちいり、一歩も動けません。次に多い手にからまれる夢は、何かを始めようとすること、つまり着手や契約ごとに対する束縛を表します。首にからまれる夢はそれほど多くはありませんが、これは文字どおり首をしめる束縛を意味し、借金で首が回らない状態などもこれに入るでしょう。頭にからまれるのは、頭脳や道徳面での束縛、体全体をからまれるのは、にっちもさっちもいかないがんじがらめを表します。
そこで、この夢を見たときは、自分が何に束縛されているのかを知ることが必要になってきますが、これはおいそれとはつかめません。だからこの点はあまり無理に解こうとせず、とにかく非常にしつこい束縛を受けているのだという程度で納得しておくのが無難でしょう。
蛇が秘める深遠な意味合いから、その束縛は、あるいはあなたが生まれながらに持っている運命的性格からきているのかもしれません。だからこそ、私たちはこの夢から、一生逃れることができないともいえるのです。特にものごとにこだわりやすい性格の人は、しょっちゅうこの夢に悩まされます。自縄自縛とはまさにこのことです。
9 歯が抜ける
歯は一般に家族を表します。前歯は若い人、奥歯にいくにしたがって年をとった人を表します。したがって歯が抜ける夢は、家族のだれかが抜けること、つまりいなくなるのではないかという不安を表しています。
いなくなるといっても、死ぬわけではありません。自分のもとから一時的に離れてしまうとか、別れがあることを暗示しています。故郷を離れて、ひとり暮らしをしているときにこの夢を見たら、家族のだれかに会いたがっている気持ちを表しています。
また、一家にもめごとがあり、家族間のつながりがバラバラになっているようなときにも、歯がゆるんだり抜けたりする夢を見ることがあります。この場合は反対に、家族のだれかがいなくなってほしいという願望なのだと考えたほうが自然でしょう。
歯を家族とみなす診断では納得いかない場合は、歯のもう一つの意味である怒り、攻撃力という面から当たってみてください。これだと、歯が抜けるのは、怒り、攻撃力の低下、つまり自信喪失状態を表しています。
歯を抜かれる夢も同様で、"牙を抜かれる"ことを意味し、医者に抜かれる夢などはその典型といってよいでしょう。
また、歯が抜ける夢は健康の低下とも関係があるらしく、食事中に抜けたり、年老いて抜けたりする夢を見たら、生命力やパワーの減退を暗示しています。年をとったり、あるいは疲れて無力になっていることを、心のどこかで感じて警告を発しているのかもしれません。
ただし、子供時代に歯が抜ける夢は、乳歯から永久歯への生えかわりの意味、つまり「死と再生」を象徴し、新たな成長へのステップを表しています。
10 犬に襲われる
犬は人間にもっとも親しい動物で、夢にもよく登場します。一般には上下関係、誠実さ、忠誠心などを象徴します。あなたとパートナー、部下、後輩との関係を表す一方、人間の本能的な部分や、荒々しいエネルギーを暗示する場合もあります。自分が日頃犬に対して抱いているイメージが投影されやすい夢といえます。
このことから、犬にかまれたり襲われたりする夢は、 信頼している友人や後輩、部下による裏切り、中傷といったトラブルを示しているといえます。周囲の人たちが、信用できる人物なのかを、見極めるべき状況が近づいているようです。同時に、自分が相手にどう見られているかも振り返るといいでしょう。
これに対し、同じ敵対行為でも吠えかかる犬には別の意味が生じてきます。 番犬が示すように、犬が吠えるときは未知のものの侵入を防ごうとする心理の表れ。イライラしたり、不安定になっている気持ちを象徴する姿です。 吠えている犬がつながれているなら、不満はかなり大きいようです。この機会に自分を取り巻く環境を見直すといいでしょう。そして、もっと気持ちに余裕を持てるように、生活や人間関係などを改善しましょう。
このように、犬の夢はあまりよい意味を持たないですが、ポイントはあなた自身が犬にどんなイメージを持っているかということ。犬を飼っている人が、犬と友だちになったり、犬を飼う夢は、新しい友人関係を得る知らせです。また、犬を手なずける夢は、友人や部下を手なずけることに通じます。見知らぬ道を先立って歩いてくれる犬を見たら、意外な案内者を得るかもしれません。
反対に、あなたを支配したり、束縛する人が近くにいるときは、あなた自身が犬となって夢に登場し、飼い主を裏切る役を演じることになるでしょう。夢の中の飼い主は、現実にあなたを支配している人物です。まれには犬を殺す夢を見ることがありますが、これもだれかとのきずなを絶つというより、自分のなかの犬の根性を否定しようとする心理を投影したものなのです。
11 二者択一を迫られる
これは恋人を選ぶ、学校を選ぶ、会社を選ぶといったたぐいの夢です。この夢も頻度が高く、パターンもさまざまですが、多くはA・B二つの何かがあってそのどちらかを選ぶという形で現れます。
たとえば、今あなたがAさん・Bさん二人の恋人とつきあっていたとします。しかし、そろそろどちらかにしぼらなければならないときがきました。あなたとしてはAさんにより強く魅力を感じています。ところがそのさなか、意外な夢を見ました。なんとあなたは、夢のなかではBさんを選んでしまったのです。このような夢を見ると、目覚めてからもなんとなく気にかかり、はたしてどちらを選んだらいいのか迷ってしまいます。同様のことは、進学校選びの夢でも起こります。自分では志望校を決めたはずなのに、夢では別の学校を選ぶようなことをやらかします。就職よりも進学をと思っていたのに、夢では就職の道を選んでしまうこともあるでしょう。会社選びの夢ともなると、第一志望の会社に受かったのに入社のふんぎりがつかず、いつのまにか第二志望の会社に勤めていたという奇妙な夢になることさえ珍しくありません。学校で野球部と水泳部の勧誘に会い、さんざん迷ったあげく野球部に決めたのに、夢のなかでは水泳部に入っていたというのも二者択一の夢の一種です。このように、二者択一の夢では自分の思惑とは異なる結果になることが多く、これが繰りかえされると、どんな決定にも自身が持てなくなってしまいます。けれどもこの夢は、夢の決定のほうが正しいからそれに従えといっているわけでは必ずしもありません。夢は自分の意識の裏に隠れたもう一つの声です。AさんよりBさんのほうがいいというのは、その隠れた意識からの声なのです。つまり二者択一の夢は、立場を変えて見ればまったく正反対の答えも出るのですよということを暗に教えているのです。そのどちらを選び、それが将来どう展開するかはあくまでもあなた自身の問題で、夢はなんの保証もしてくれません。ただ、迷いがあまりにも大きくてどうにも決断がつかないときは、いっそ夢の教えに従ってみるのも一つの方法ではないかと思います。
12 旅に出る
人生は、しばしば旅にたとえられます。歩むことによって、いろいろなことを知り、いろいろなことを体験します。このことから、旅の夢は、その人の一生を漠然と予告するものと考えられています。わかりやすくいえば、あなたがどんな一生を送ろうとしているのかが、旅の夢のなかにそれとなく、示されているというわけです。
油甲桂
旅の夢は、大きく分けて二つの、要素からなっています。一つは、旅行の方法です。これには、歩いて出るのと、乗り物の利用があります。このうち、歩いて出るのは、地に足をつけてこつこつ進むがんばり型の人生、なかでも一人で黙々と行くのは独立独歩の精神を表します。一方、乗り物で旅に出る夢は、人生の大きな流れに対するあなたの志向を表します。鉄道やバスの旅はコース化された人生、飛行機の旅は飛躍と危険の同居する人生、船旅は未知なるものに希望を託した人生に身を投ずることを表します。マイカーやオートバイのように自分で運転する乗り物は、自分の技量に人生を託して進もうとしていることを示します。ヒッチハイクは、人頼りのただ乗り人生といったところでしょうか。複数の乗り物を利用したり、歩きと乗り物の両方が組みあわさっている場合もあります。これは、人生がひとすじなわには進めないことを思えば当然のことですが、あまりにも乗りかえが激しいのは、あなたが複雑な人生を送るかもしれないことを暗示しています。旅の夢のもう一つの要素は、どんな場所へ行くのかということです。これには、目的地がはっきりしているものもありますが、大半はあいまいで、どこをめざしているのかはっきりしません。気がついてみたら、どこかの山に登っていたり、海岸に立っていたというケースがほとんどです。見知らぬ街を歩いていることもあるでしょう。このような場合は、無埋に意味をくみとる必要はありません。ただそれらの風景から、自分がこれから直面するであろう問題をそれとなく感じとるだけで結構です。旅の夢は人生全般の縮図であるため、いろいろな夢と結びつきやすい傾向を持っていますが、主題はあくまで"旅"にあるということを忘れないでください。ただし、目的地がはっきりしている場合は、それなりに意味をくみとることもできなくはありません。たとえば、この種の夢で最もポピュラーな故郷に帰る旅の夢は、故郷へのノスタルジーもさることながら、将来、実際にUターンするかもしれないことをそれとなく暗示しています。
13 服を着がえる
ふつう、夢のなかでは、自分がどんな服装をしているのかはあまり意識にのぼりません。しかし、ときには自分の服装がひどく気になる夢を見ることがあります。いったい、なぜそんな夢を見るのでしょう?
人はだれしも、内面と外面の世界を持っています。内面はいわば本心の世界で、簡単には変えられません。けれども、外面はいろいろにとりつくろうことができます。服装は、その最も手軽な道具の一つです。立派な服を着れば、内面はどうであれ、表向きだけは引きたちます。派手な人でも、地味な服を着れば落ちついて見えるのです。つまり、自分を少しでも変えて見せようと思ったら、まずは服装を変えるのがいちばんてっとりばやいといえるでしょう。服装が気になり、あれこれ着がえる夢は、これを表します。それは、たとえ見せかけにせよ、自分を変えようとする試みにほかなりません。ふだんラフな格好ばかりしている人が制服に着がえる夢は、その人がきちんとした生活に転換をはかろうとしていることを表しています。反対に、制服からラフな服に着がえる夢には、堅苦しさを捨ててのびのびとふるまってみたいという願望が働いています。男性が女性の服装をしたり、女性が男性の服装をする夢は、その人のなかにある異性的な側面を強調することで、気分の一新をはかっているのでしょう。男女平等をアピールするため、女性があえて男性の服装をするのは、現実の社会でもよく見られることです。着がえてみたら、ひどくアンバランスな格好をしていたというのは、変身に失敗したことを示します。こうした夢に対し、服を脱いで下着姿になったり、裸になったりする夢は、外面をかなぐり拾てて本心をさらけだすことを意味します。この種の夢に恥ずかしさがともなうのは、本心の隠しておくべき部分までもがさらされてしまったからです。また、現在の外面にあまりにも縛られている人は、服を脱ごうにもどうしても脱げない夢を見るはめになります。いずれにせよ、人は一つの型にはまりすぎると動きがとれません。たとえポーズにせよ、ときには変身が必要です。服を着がえたり脱いだりする夢はそれを教えているといってよいでしょう。
14 病気になる
病気になる夢は、心身が疲労しているときに警告夢として見るケースが多いでしょう。私たちの意識は、ふだん目覚めているときは大部分が自分の外に向けられています。ところが眠りに入ると、外界との関係が遮断され、意識が内に向かいます。そのため、目覚めているときには気づかなかった体の変調が意識にキャッチされ、病気の夢として現れてくるのです。
それは、病名を具体的に告げてくれるほどの夢とはならないまでも、各種の頭痛、腹痛、手足の麻痺、あるいは何かの異物が体内に入っているような夢になります。何匹もの蛇をのみこむ夢を続けて見たので病院に行ったところ、食道ガンが発見されたとか、体がまっぷたつに切られて片側だけが動く夢が続いたと思ったら、本当に半身不随の病気になってしまったといった報告もあります。これらは、直接には病気を表現していませんが、やはり睡眠中の意識が体の変調を感じとったことによる夢と考えてよいでしょう。
けれども、それなら病気や体の変調の夢が必ず病気につながるかというとそうでもありません。余計なとりこし苦労に終わることがずいぶんあります。しかし、その場合でも、この夢は何かを警告しています。それは、なんでしょう?
そのヒントを与えてくれるのが"病は気から"という言葉です。はたしてすべての病気がその人の気分から生まれるのかどうかは、医学的には疑問のあるところですが、病気の夢がある種の心理を反映していることはたしかなようです。
たびたび、病気の夢は、現実の世界での何か不愉快で不確実な事柄を表すことがあります。その解決困難な状況から逃避したい欲求があるとき、夢で病気になったりします。特定のだれかがそんな状態を生み出す原因となっていることもあります。現実の世界のだれかがあなたに対して強い影響力を及ぼそうとしているのではありませんか?
これは裏を返せば、そういう環境を改めなさいという警告です。いずれにせよ、病気になる夢は、あなたが心身ともに疲れた状態にあり、少し休息を必要としているのだと受けとっておけば、まずまちがいありません。病気の夢を見たら、身体のサインに耳を傾けるようにしてください。
15 地震にあう
ものごとをなすには、不動の信念が大切です。しかし、実際には私たちの気持ちは常に揺れ動いていて、なかなか足元が定まりません。地震の夢は、その動揺から生じます。
したがって、動揺が大きくなるほど地震の揺れも激しくなり、ついには家や街が壊れる大地震の夢にまでエスカレートします。たとえば、自分の家が壊れるような地震の夢は、一家が非常に不安定な状態にあり、あなたが肉体的にも精神的にも動転していることを示しています。その原因は、まずは家庭不和が考えられますが、ほかにも金銭問題や遺産問題、あるいは近所とのトラブルなど、いろいろなからみがあるでしょう。学校が壊れる夢も同様です。この場合は、学校自体に問題があることも少なくありませんが、多くは校内生活の不安定さを反映しています。特に先生と生徒、生徒と生徒の結びつきがバラバラであったりすると、地震に揺すられて学校が倒壊する夢になります。また、自分の会社の先行きに不安を抱いている人は、会社が壊れる夢を見ることになるでしよう。街が壊れるのは、あなたがきわめてもろい世界観の上に立っていることを示します。ほかの建物がどんどん壊れていくのに、自分の家や会社だけは残ったというのは、動揺を乗りきろうとする必死のがんばりです。この夢は、意外と多く、他人に対する優越感の投影だとする解釈もあるぐらいです。このほか、気持ちが混乱するあまり、いっそのこと何もかも壊れてしまったほうがいいという、捨てばちの思いが地震の夢を生みだすこともあります。この場合は、浄化とか再出発という意味をくみとる必要があり、目覚めたあと、妙にすっきりした気分になるのが特徴です。軽く揺すられる程度の小さな地震は、落ちつきのなさぐらいに考えておけばよいでしょう。
16 川を渡る
川はものごとの境界、いうなれば人生の節目を表します。したがって、それを渡ることは、今までとは別の生き方をしようとしていることを示します。しかし、川に大小があるように、境界にも大小があります。そこで渡り方にも当然ちがいが出てきます。
まず、いちばんふつうの渡り方は歩いて行く方法です。これは川が浅いこと、つまりあなたが渡ろうとしている境界があまり深くないことを表しています。これに対し、泳いで渡る夢は境界が深いことを示します。このような夢では、泳ぎ方にもそれなりの意味が生じ、人に知られず、秘密に渡ろうとしているときには、もぐって泳ぐ形の夢になったりします。また境界が深く、しかも広い場合は、船で渡るような夢になりますが、これにはだれかの応援や協力を得て渡るという意味が加わってきます。橋で渡るのも同様で、すでに仲立ちをしてくれる下地があり、それを足場に渡ろうとしているのです。もちろん、川を渡るといっても、すべてが対岸に着けるわけではありません。途中で失敗したり、引きかえしてしまう場合もあるでしょう。そんなときは、境界を渡る機がまだ熟していないか、渡ることにためらいがあると考えてください。川岸に立って、ただ対岸を見つめる夢は、境界の向こうの世界に対する漠然としたあこがれ、ないしは不安を表します。激流を前に立ちすくむのは、渡るなという強い警告です。
17 海を泳ぐ
人間は、陸上で暮らす生きものです。その人間が海を泳ぐとは、ふだんとは異なる未知の別世界に入っていくことを意味します。この意味では、海を泳ぐ夢には、別の生き方をめざす川を渡る夢と一脈通じるものがあります。
しかし、その別世界は、境界を渡るというプロセスを経ません。多くはいきなりそこへ身をひたす形で現れます。このことから、海を泳ぐ夢は、別世界といっても、頭だけで往来できるかなり空想色の強い世界に遊ぶ精神的冒険を表していると考えるべきでしょう。たとえば、だれもが一度は見る青い大海をゆうゆうと泳ぐ夢などはたしかに気分がよく、空想にひたって忘我の境地をさまようのとまったく変わるところがありません。空想への飽くことなき沈潜が、もぐって泳ぐ夢になることもあります。しかし、海の広さが象微するように、空想世界には果てがありません。そのため、しばしば空想にほんろうされるという皮肉な結未を迎えます。海が突然荒れだし、波にのみこまれたりするのもその一つです。空想へのひたりすぎが、おぼれる夢を生みだすこともあるでしよう。これらに対し、浜辺でピチャピチャ波にひたるだけの夢は、空想世界に入っていけないことを表しています。このほか、海を泳ぐ夢が、セックスの感覚を表現することもあります。
18 山を登る
人は、それぞれ人生の目標を持っています。大きな目標、小さな目標、高い目標、低い目標……。レベルは人によってさまざまですが、それを最も象徴的に見せてくれるのが山の夢です。
したがって、山を登る夢は、その目標に到達するための道のりと、必要な努力を表していると考えればよいでしょう。たとえば、けわしい山、危険な山は、目標にいたる道が並々ならぬ困難に満ちていることを示しています。複雑な道にはまりこんだり、霧につつまれたりしたら、思わぬトラブルや邪魔に見舞われることも考慮しなければなりません。また、登り方にもそれぞれ意味があり、一人で黙々と登るのは、孤軍奮闘、孤独な努力を表します。一方、グループで登る夢は、集団を意識した共通の目標とそこへいたる協力関係を表しますが、競って登るような場合は、競争という意味が生まれてきます。このほか、軽装で登っているのか、重装で登っているのかなどにも注意を向けてください。けわしい山を軽装で登るのは、至難の技であるばかりでなく、無謀にすぎるという警告です。反対に、やさしい山を重装でフウフウいいながら登るのは、用心のしすぎ。よけいな重荷は負わないで気軽に行くことを示唆しています。もちろん、山を登るといっても、すべての夢が頂上にたどりつけるわけではありません。大半は、途中でなんだかんだとしているうちに目が覚めてしまいます。この点は、登るという努力の行為に価値があるのだ理解しておけば、そう気にする必要はありません。それに、かりに登りきったとしても、それがただちに目標の達成を約束するわけではないのです。しかし、途中で遭難したり、へたってしまうのは、やはり感心しません。これは、目標の設定に無理があるか、自分に適していない目標を選んでいることの表れです。まれに山があなた自身、ないしは父親などの特定の人物を象徴することもあります。この場合、山登りは自分やその人物の克服、征服を意味します。なお、山を眺めるだけの夢は、目標に対する漠然としたあこがれを表し、特にはるか彼方に幻のように浮かぶ神秘的な山は、目標がまだ手の届かないところにあることを示すものです。陸上競技のある中堅選手は、富士山、さらにはヒマラヤ山脈を遠望する幻想的な夢をしばしば見たとのことですが、これも日本記録、世界記録への漠然としたあこがれだったのでしょう。
19 雷が鳴る
私たちが雷に恐怖するのは、ゴロゴロ鳴るすさまじい音のせいばかりではありません。いつなんどき、自分の上に落ちるかわからないからです。このことから、雷の夢は不意の攻撃や騒動が迫っていることを教えるものだとみなせます。
ピカピカゴロゴロのなかをただ一人逃げまどっているのなら不意の攻撃、大勢の人と逃げまどっているのなら騒動と解釈するのも一法でしょう。落雷にあうのは、その攻撃や騒動がそれだけ大きいことを示します。ただし、これはあくまであなたの予感が生みだした夢ですから、必ずそれに直面するわけではありません。とにかく用心が大事だということです。逃げるさなか、どこかに隠れるのは保護を求めていることですから、どんな場所に隠れるかによって、自分が何に保護を求めようとしているのかがわかることもあります。多くは、建物とか洞窟に隠れる方法をとるようですが、これは母親のふところ、つまりお母さんの保護のもとに逃げこもうとしていることを表します。荒野のような場所を逃げまどうのは、保護してくれるものが何もないことを示します。また雷は、どなり声を連想させるところから、叱責、特に父親の怒りの声を表すこともあります。たとえば、ある青年が見た雷の夢は、こんなストーリーになっていました。彼は夢のなかで、雷の下を逃げまわっていました。どんなに逃げようとも雷は追ってきます。どこかに隠れようと思うのですが、あたりは見わたすかぎりの原野、身を隠せるものは何もありません。そこで身を低くするしかないと、地面をはって逃げました。そうこうするうちに、彼の体はどんどん小さくなり、とうとう蟻に変わってしまいました。しかし、おかげで雷の恐怖は薄れ、ホッとしたところで目が覚めました。この青年は、実は大変ななまけ者で、高校を卒業したというのに定職にもつかず、ぶらぶら遊び暮らす毎日を続けていました。雷の夢は、そんな彼に対する父親の怒りの声だったのです。蟻になったのは、蟻のようにこつこつとまじめに働きなさいということなのでしよう。父親の代わりに雷が神の怒りを代弁することもあります。この場合、落雷は天罰を意味し、街を滅ぼすなど、比較的大きな規模になります。
20 赤ちゃんを産む
あなたが女性で出産の夢を見たら、まず実際に妊娠したいと思っているかどうか、自分に問いかけてみましょう。もし、そう思っているのなら、あなたの夢は出産願望を表しています。すでに配偶者がいて子供を望んでいるのなら、夢は妊娠を予告しているかもしれません。医師が検査をする前に夢で診断が下されることもあるのです。
また、妊娠中の女性なら、無事に出産できるかどうかという不安からも、この種の夢を見るでしょう。
これらはいずれも、女性が抱く自然の心情で、これ以上の説明を要しません。けれども、出産は赤ちゃんを産むということのほかに、もう一つ、女性としての勲章(証明)を得るという側面的意味を持っています。特に成人前の女性の場合は、こちらのニュアンスが強く、いちがいに出産願望と片づけるのは誤弊があります。彼女たちは夢のなかとはいえ、出産を体験することで大人の仲間入りをしたのだとアピールをしているのです。この夢は、だいたいは母親とセットになって現れ、「私だって赤ちゃんを産んだのだから、いつまでも子供あつかいにしないでほしい」という主張を暗に描きだしています。
これに加えて、出産の夢には新しい意識の誕生という意味もあります。これはわかりやすくいえば、自分の内部に新しい可能性が誕生することを告げるものですが、それがどんな意識なのかは、残念ながら言葉をもって表現することができません。赤ちゃんが言葉をしゃべれないのと同様、その意識はまだ誕生したばかりで、あなたの腕のなかで産声をあげているにすぎないのです。流産や死産の夢は、そうした意識が形になりきれなかったことを意味しています。
このほか、出産の夢が体内にたまっている苦悩を排泄する役目をはたすこともあります。若い女性がとかく見がちな悪魔を産み落とす夢は、邪悪な意識の誕生というより、排泄によって自分の体が浄化されたのだと考えたほうがよいでしょう。特別なケースとしては、神の子を産むというのがありますが、これは女性の究極の原理であるグレートマザー(太母、聖母、女神など)の役を自分が演じようとしていることを示しています。