空を飛ぶ夢
人は、目覚めているときでも、半分は空想の世界に生きています。特に現実に行きづまりを感じるときは、あれやこれやと空想を働かせます。大空をあおぐ夢は、その空想の漠然とした表現といってよいでしょう。
しかし、現実の束縛を破ろうとする思いがつのるにつれ、足は地を離れて空想世界にはばたきだします。それが空を飛ぶ夢です。
海を泳ぐ夢では、空想世界が冒険心や好奇心の対象でしたが、空を飛ぶ夢では、それが自由と解放の対象になっている点に若干の相違があります。
この夢は、若い人に多く、だいたいは鳥のように勢いよく、のびやかに飛ぶ形で現れます。若い人のほうが空想力にエネルギーがあり、またその世界に没入できるからです。
落ちそうになっても再度上昇し、自由自在に飛びまわるといった夢もあります。このような夢は、空想力をコントロールできるようになったことを示し、20代から30代になると、むしろこちらの夢のほうが多くなるようです。
これに対し、空想力が衰えたり、現実のしがらみに勝てなくなると、力なくフワフワ飛んだり、地上すれすれに飛ぶような夢に変わります。
また、同じ飛ぶにしても、ただ飛ぶことだけに夢中になっているのと、飛びながら下界を観察するという二つのケースがあります。
後者は、年配者に特徴的な夢で、空想にはばたきながらも現実を見おろしていることを示しています。
墜落は、空想の破綻を意味しますが、意外とこの夢は多くありません。
空を飛ぶ夢は、若い人に多いことから、海を泳ぐのと同様、一面では性エネルギーの発現ともみなされていますが、どんどん上に飛んで、昇りきったところでスーッと急落下するような夢には、たしかにオルガスムスの感覚に通じるものがあるようです。
女性の場合、空を飛ぶ夢は、スカートのなかをのぞかれる危険をともないがちですが、これもあるいは露出願望の一端を投影しているのかもしれません。