この章では、あなたの住む家が良いのか悪いのか、風水で診断していくことにしましょう。伝統風水では、まず住んでいる土地の環境を問題にします。つまり、周りにある山や川のたたずまい、都市であれば、建物や道路とどういう位置関係にあるか、それをもとに、あなたの住まいの吉凶をチェックします。

土地の吉凶をチェック!

伝統風水では、建物の建っている土地の影響というのは、非常に大きいと考えます。そのため、できるだけ理想的な土地に住むのが良いとされているのです。特に理想的とされるのは、「四神相応(しじんそうおう)」のような場所です。「地理風水」という言葉があるくらい土地が家や人に与える影響は、とても大きなものなのです。新しく家を建てたり、引っ越したりする際には、まずはじめに土地の吉凶から見ていきましよう。

四神相応

伝統風水では、理想の地形を「龍(りゅう)」「穴(けつ)」「砂(さ)」「水(すい)」という考えを使って探し出します。

「龍」は、風を起こし雨を降らすといわれる中国の伝説上の神獣のことで、古来中国では天地の「気」をこの龍にたとえ、天に近い高いところ(山)から龍(気)が山脈を伝って降りてくる、と考えられていました。

そして「穴」は、龍の棲む穴(龍穴)のことをいい、龍が休む場所がすなわち「気」のたまる場所と考え、このような場所に住めば天地の「気」を十分に受けることができる、と信じられていたのです。

「砂」は、「穴」の周辺にある丘や小高い山のことで、龍穴を守る凸地のことを指します。

「水」は文字通り河川や池、湖、海などで、どんなに優れた地形でも、「水」がなければ集められた「気」の力をいかすことができないと考えられていました。

中央に龍穴があり、北には龍が降りてくる山、西には北よりも低い凸地、東は西よりもさらに低い凸地で、南に海や湖などがあり開けていることが、風水上の理想といわれています。

これを東の龍(「青龍」)をはじめとする西の「白虎」、北の「玄武」、南の「朱雀」という四方の守り神である神獣にたとえて「四神相応(しじんそうおう)」の土地と呼んでいます。

長安など中国の昔の都は、四神相応にしたがってつくられたといわれ、日本でも平安京(京部)や江戸(東京)はこの四神相応にかなった都として有名です。

吉相の土地

  • 日当たりと風通しが良い家は生気を十分に受けることができます。
  • 幸運を呼ぶ地相の条件は、変形がないこと。理想は、四つの角がきっちり東西南北の方位を向いた正方形の土地です。このような敷地に吉相の土地を建てれば、社会的にも尊敬され、名誉を手にすることができます。
  • 川が近くにある土地は吉相です。澄んだ水が人の心を癒し、運を呼びこむパワーをもっているからです。ただし、川の水が汚れている場合は凶作用が強くなります。また、川と近づきすぎている場合も、洪水の心配などがあるので避けること。
  • 南北に長い日本では、一般的に南北に風が抜けるような土地が吉といわれていますが、地域の夏場の風向きを調べ、その方位に障害物がなく開けているようであれば、風通しがよく、過こしやすい土地といえるでしょう。
傾斜(前低後高)のある土地

一般に、南向きの住宅が吉相ですから、「北が高く、南が低い」住宅が理想的です。こうした敷地は、家の前方から新鮮な空気が入り込み、その気が家じゅうに満ちあふれます。また、後ろの山が一種のバリケードの役割を果たすので、せっかくのよい気が散ってしまうのを防いでくれます。

このような敷地に住めば、精神的に安定し、気持ちが明るくなります。 ただ、後方の山の地盤がゆるいのは凶。豪雨のときには、十砂崩れにあう危険があり、家の後ろで眠れる虎を飼っているようなものだからです。

風水の考え方は現代建築の考え方と一致するものがあります。それは採光の良し悪しで、南向きの住宅は日光を得やすく、北向きでは難しい。北が高い住宅は採光も自然とよくなるが、低ければ採光も悪くなり、冷たい北風を受けやすくなるので多くの照明や暖房設備が必要になります。

凶相の土地

  • じめじめと湿った土地では、暗い感じがして「気」がよどんでしまうだけでなく、湿気によって体調をくずしたり、家屋も傷みやすいもの。また、水はけの悪い土地では植物も成長せず、家によい気を運んでくることができません。
  • 森林を伐採したり、海などを埋め立ててつくる土地は、自然の理に反したもので風水的に好ましくありません。
  • 火事で燃えた土地は、土壌の状態が悪く、大地からの気を十分に吸収することができません。
  • 周囲よりも低い土地は、水がたまりやすく、大雨の際に浸水の恐れもあります。気もよどみやすいので注意。
  • 丘の上にある土地は、見晴らしがよい反面、風の影響を受けやすく、せっかくの気がたまらずに散ってしまうため、凶相となります。
三角形の土地

変形している土地は全般的によくありませんが、中でも三角形は要注意。特に頂点が前になっている地相は、最も避けなければなりません。

こういう土地に住むと健康を害し、予期せぬ災厄に見舞われます。甚だしい場合は、不治の病にかかったり、自ら命を縮めるようなことにもなりかねません。

また、三角形に正方形や長方形の住宅を建てるのは不便であるし、不経済でもあります。十分な広さも確保できず、費用もかさむうえ、土地には利用価値もあまりありません。面積に比べて壁も長くなるし、隅は何も利用できません。建築単価も四角形の土地より高くなります。

周囲の建物とあなたの家の相性をチェック!

人と人に相性があるように、家や建物にも相性があります。人の相性は、本命卦五行で見ましたが、家(建物)の相性は、外観の五行から判断します。

あなたの家が周囲とまったく同じ形なら、うまく調和しているでしょう。しかし、違った形なら何か問題があるでしょうから、位置関係による影響を調べる必要があります。

家と環境の五行を判断する

以下を参考に、まずあなたの家が五行のどの形に似ているか、次に周囲の建物がどの形に似ているかを判断しましょう。

  • 木の家

    現代的な高層建築のオフィスやマンションのような、高く細長い長方形の建造物は「木」の家です。

  • 火の家

    尖塔のある教会をはじめ、とがった屋根を持つ建造物、またはピラミッド形の屋根を持つ建造物は「火」の家です。

  • 土の家

    低く平らな屋根の建造物、または緩やかな傾斜の屋根は、「土」の家です。普通の家屋の多くはこの形です。

  • 金の家

    円形および丸屋根の建物は、「金」の家です。いくつかのアーチがある建物、特徴的な丸いアーチのある回廊、出入り口、窓などもこれに入ります。

  • 水の家

    不規則な形の建造物、さまざまな形(高く細いもの、尖塔、丸屋根、低い長方形)や曲線を描くもの、流れるような形のものは、「水」の家です。

家と環境の相性を判断する

家と環境の五行がわかったら、次は具体的な相性を見ていきましょう。

五行の要素には、相生・相克の関係がありますから、周囲の建物の形によって、あなたの家には好ましい影響と好ましくない影響がもたらされます。

もっとも望ましいのは相生の関係か、あるいは自分の家と周囲が同じ五行で調和している状態です。

ただし、同じ相生でも、自分がパワーをもらうオモテ相生と、自分がパワーを与えるウラ相生がありますので、注意する必要があります。

形が互いに不調和な場合は、五行に基づく問題解決法を使って、好ましくない影響を軽減しましょう。

表A - 家と環境の相性と改善法
自分の家の五行
周囲の家の五行 同じ五行で調和しています。 オモテ相生
木からエネルギーをもらうことで、火はパワーアップします。特に人気運が高まって、地位や名声を得る可能性が大です。
オモテ相剋
土のパワーが木によって攻撃されます。冷静さを失い、精神的に不安定になることが多くなるでしょう。火のカラー&アイテムを使って、土のパワーを強め、木の影響を弱めましょう。
ウラ相剋
金のパワーが木を攻撃。あなたの家にとって直接的な悪影響はありませんが、周囲の繁栄を妨げることになります。水のカラー&アイテムを仲介役にして、関係を好転させましょう。
ウラ相生
水のパワーが木によって吸い取られてしまいます。元気がなくなり、物事に対して投げやりになる傾向があるでしょう。金のカラー&アイテムを使って、水のパワーを強め、木の影響を弱めましょう。
ウラ相生
木のパワーが火によって吸い取られてしまいます。努力が空回りしやすく、夢の実現が困難になるでしょう。水のカラー&アイテムを使って、木のパワーを強め、火の影響を弱めましょう。
同じ五行で調和しています。 オモテ相生
火からエネルギーをもらうことで、土はパワーアップします。特に家庭運が上昇し、愛情や財に恵まれるでしょう。
オモテ相剋
金のパワーが火によって攻撃されます。享楽的な性格になり、特に財運での悪影響が顕著になるでしょう。土のカラー&アイテムを使って、金のパワーを強め、火の影響を弱めましょう。
ウラ相剋
水のパワーが火を攻撃。あなたの家にとって直接的な悪影響はありませんが、周囲とのつき合いに問題が起こりがちです。木のカラー&アイテムを仲介役にして、関係を好転させましょう。
ウラ相剋
木のパワーが土を攻撃。あなたの家にとって直接的な悪影響はありませんが、周囲への凶作用から、問題が生じることも。火のカラー&アイテムを仲介役にして関係を好転させましょう。
ウラ相生
火のパワーが土によって吸い取られてしまいます。周囲からの評価か下がり、仕事などでの成功が難しくなるでしよう。木のカラー&アイテムを使って、火のパワーを強め、土の影響を弱めましょう。
同じ五行で調和しています。 オモテ相生
土のエネルギーをもらうことで、金はパワーアップします。努力が着実に花開き、財を築くことができるでしょう。
オモテ相剋
水のパワーが土によって攻撃されます。精神的に不安定になり、何に対してもやる気がなくなってしまうでしょう。金のカラー&アイテムを使って、水のパワーを強め、土の影響を弱めましょう。
オモテ相剋
木のパワーが金によって攻撃されます。気力がダウンして、恋愛、仕事などすべての運気が下降していくでしょう。水のカラー&アイテムを使って、木のパワーを強め、金の影響を弱めましょう。
ウラ相剋
火のパワーが金を攻撃。あなたの家にとって直接的な悪影響はありませんが、周囲の繁栄を妨げることになります。土のカラー&アイテムを仲介役にして関係を好転させましょう。
ウラ相生
土のパワーが金によって吸い取られてしまいます。家族間での問題が生じやすく、精神的にも不安定になるでしょう。火のカラー&アイテムを使って、土のパワーを強め、金の影響を弱めましょう。
同じ五行で調和しています。 オモテ相生
金からエネルギーをもらうことで、水はパワーアップします。物事に積極的になることで、運気が上昇していくでしょう。
オモテ相生
水からエネルギーをもらうことで、木はパワーアップします。やる気にあふれ、特に仕事運、財運が上昇するでしょう。
オモテ相剋
火のパワーが水によって攻撃されます。名誉やプライドを傷つけられやすく、トラブルに巻き込まれることが多いでしょう。木のカラー&アイテムを使って、火のパワーを強め、水の影響を弱めましょう。
ウラ相剋
土のパワーが水を攻撃。あなたの家にとって直接的な悪影響はありませんが、周囲のエネルギーを低下させます。金のカラー&アイテムを仲介役にして関係を好転させましょう。
ウラ相生
金のパワーが水によって吸い取られてしまいます。努力が空回りしやすく、財政面での不安が多くなります。土のカラー&アイテムを使って、金のパワーを強め、水の影響を弱めましょう。
同じ五行で調和しています。

凶作用を及ぼす形殺をチェック!

ここでは、建物の外観や道路の形状などが、周辺の住民を威嚇するような作用をもたらすと考えられる形殺(けいさつ)に関してお話しします。

形殺とは「形状の殺気」という意味で、具体的には、尖ったもの、角張ったもの、光や形によって射るもの、刺すもの、というイメージを感じさせる建物、または地形を指します。

ほかにも、墓場、葬儀場、病院、警察、寺など、精神的な圧迫感を及ぼすものも、形殺に含まれます。住まいと道路との位置関係によっても、形殺による凶作用を受ける場合があるので、注意が必要です。

もし、あなたの家が、周囲の建物や道賂の形状のせいで、強い形殺を受けると、あなたの家の間取りが吉相であっても、家内安全は難しくなります。これから土地を購入したり、引っ越したりする場合は、こうした形殺の特徴のあるところを選ばないほうが良いでしょう。

以下、代表的な形殺を挙げてみました。

丁字路行(ていじろこう)

丁字路の突き当たりにある地形

丁字路(ていじろ)の突き当たりや直線道路の突き当たりとなる土地に家が建っているような場合を丁字路行(ていじろこう)といいます。

道路から直進してくる邪気がまともに家に入ってきてしまいます。特に、玄関が正面にある場合は、さらに凶意が強くなります。

この形殺にあうと、精神的に混乱を生じ、破産、怪我、病気を招くといわれています。別名、路冲(ろちゅう)ともいいます。

化殺する方法は、道路と家の間に生け垣や腰の高さほどの樹木を並べることです。現代都市では道路も交通のある「水」とみなします。車や人が常に動いているからです。そのエネルギーを弱めることができるのは「木」ですから、木を植えるとよいのです。

街道反弓(がいどうはんきゅう)

カーブした道路の外側に建物の入口が面している地形

カーブした道路の外側は、刃で切られるような殺気がある土地といわれます。

ここに家が建っていると、道沿いを流れてくる邪気を浴び続けることになります。事故も起きやすく、住人は始終車のブレーキの音に悩まされます。

さらに、この道路に電柱や大きな樹木があると、住人の精神状態が乱れ、金銭や訴訟問題を起こしやすくなります。

別名、路弓(ろきゅう)ともいいます。化殺するために、道路と家の間に生け垣や腰の高さほどの樹木を植えてください。

彎弓直箭(わんきゅうちょくせん)

カーブした道路と直線の道路が交差している地形

丁字路行街道反弓が合わさったもので、弓矢が家を射るような形で、道路が家に向かってきている場合を彎弓直箭(わんきゅうちょくせん)といいます。

奇怪な事件に見舞われるだけでなく、大病や大ケガをするなど、命の危険があってもおかしくない形殺です。子宝にも恵まれません。

化殺するために、道路と家の間に生け垣や腰の高さほどの樹木を植えてください。

鎌刀殺(れんとうさつ)

高速道路が大きくカーブし、その外側に建物が面している地形

同じ道路でも、車がかなりのスピードで走行する高速道路の外側にあるときは、鎌刀殺(れんとうさつ)といいます。つまり、鎌を水平にふるって、バッサリ切られるような形殺、という意味です。

あなたの住まいやオフィスが、高速道路に面しているか、やや離れているが、遮るものが高速道路側にない場合は、鎌刀殺の影響を受けることになってしまいます。

その凶作用として、神経障害、不眠症、イライラ、精神の不安定、思いがけないケガ、仕事や家庭生活での失敗、他人からの妨害、などが心配されます。

ただし、住まいやオフィスの位置が、高速道路よりも高い階にあれば、凶作用を受けることは少ないでしょう。

天斬殺(てんざんさつ)

二つの高いビルの隙間に面して、低い建物があるような地形

家の正面が二つの高いビルのすき間に面しているのは、天斬殺(てんざんさつ)といいます。

ビルの隙間から吹く風(風殺)が災いをもたらし、神経痛やリウマチなど、神経系の病気を引き起こしたりします。

二つのビルの隙間が狭ければ狭いほど凶。さらに二つのビルと、自分の住まいとの高低差があればあるほど凶となります。

ただし、二つのビルの間から別の建物が見える場合は、凶作用を心配する必要はありません。

隔角殺(かくかくさつ)

隣接する建物の角が食い込むように位置している地形

近くの家や建物の角が、自分の家の玄関に向いている場合を隔角殺(かくかくさつ)と呼びます。

この状態を放置すれば、精神的な圧迫感が無意識のうちに蓄積され、情緒が不安定になって運気の低下をもたらします。

化殺するために、角が見えないように生け垣や高い樹木を植えたりしてください。

四害殺(しがいさつ)

四方を高い建物で囲まれているような地形

こうした建物に住むと、どの方向にも発展することができず、気持ちが消極的になりがち。小さな物事にもクヨクヨし、心が晴れるときがありません。

そのほかにも、知能の発達が妨げられ、病気に悩むことも多くなります。日当たりも悪く、気のバランスが崩れます。また、「四面楚歌」の言葉どおり、孤立することに。牢獄殺ともいいます。

露足殺(ろそくさつ)

1棟だけ高いビルがあり、周囲は低い一戸建てがあるような地形

周囲の建物と比べてみて、1棟だけ建物が高い場合を露足殺(ろそくさつ)といいます。

この高い建物の住人は、なかなか協力者が現われず、自力で東奔西走するしかありません。思い切ったこともできないので、大きな成功も期待できないのです。

ただし、マンションなどの集合住宅で、両隣に部屋がある場合は、悪影響の心配はありません。

また、貿易、旅行、社交、販売など、足を使って稼ぐ職業にはかえって吉、ともいわれています。

露風殺(ろふうさつ)

1棟だけ高いビルの周囲を、低い建物が囲むような地形

1棟だけ飛びぬけて高く、その周りを低層の建物がグルリと取り巻いているのは、露風殺(ろふうさつ)という形殺になります。

こうした建物に居住すると、人間関係で孤立しやすくなり、そのトラブルがもとで病気になってしまうことも。

巒頭(らんとう)では、住居を守る「砂」があると良いとされていますが、1つだけ飛び出している建物は、「砂」に守ってもらえず、強い風にさらされてしまうのです。

ただし、マンションの場合、両側を部屋に囲まれていれば、悪影響はありません。